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世に棲む日々の自閉症。本書は、現実の自閉症児者が示す様々な現象の中から著者が関心をもつものを取り上げて論じている。一つ一つの事柄が、物語のように面白く分かりやすく記述されている。自閉症概念のない時代に、現在なら自閉症とされるだろう人々がどのように生きていたかを江戸時代の例を挙げながら考察する。サヴァンに関しては、かなり詳細にいろいろな実例を挙げて考察している。著者は、ICD-10やDSMによって定義づけられた「自閉症」概念の狭苦しさと貧困さへの反撥から、従来の研究で傍流と考えられる領域の研究を取り上げ、考察する。それにより、知能や才能といった言葉を相対化し、自閉症の主要な症状である常同的反復的行動が、自閉症の本来の症状ではなく二次症状であるとの考えを示す。「自閉症」にまつわる様々な概念を批判的に検討するうえで、本書は貴重な示唆を与えてくれる。
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