臨床心理士の仕事の方法 その職業的専門性と独自性

現代という「こころ・からだ」にとって難しい時代を背景として、さまざまな領域で臨床心理士が求められている。また、それに従い、臨床心理士が用いる方法論や援助・治療技法についても、大きくは精神分析療法的立場と認知行動療法的立場とに分かれるように、多様化し、新しい方法論や援助技法が次々に生まれている。さらには、国家資格化による職業的アイデンティティの在り方も時代にあったものになるであろう。本書は、50年にわたって個人心理療法を中心にクライエント・患者と向き合ってきた著者により、臨床心理士の仕事をめぐる昨今の混迷状態にひとつの導きを与えるべく書き下ろされた。前著『私説・臨床心理学の方法』でも詳細に述べたが、「臨床心理学的に配慮されたアプローチ」としての八つの「臨床心理学の原則」に言及しながら、本書ではよりコンパクトに臨床心理士の職業的専門性と独自性の在り方を示す。クライエント・患者は「他者」との深いかかわりを通して少しずつ変わっていくものであり、臨床心理士はその確固たる「他者」となることであるとする著者の姿勢は、読む者の専門家としての矜持を大いに刺激するものである。






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