
性格と精神疾患 性格類型による診立てと治療
個人の持つ精神的-心理的な特性である「性格」は、クレッチマーの気質概念を筆頭に多くの専門家によって研究され、心理的なレベルでの精神疾患の病因探しの試みが進められた。1980年代からは生物学的なレベルでの研究が主流となっていくが、その過程で病因としての性格という視点は、徐々に背景へと追いやられていった。さらに、DSMやICDといった操作的診断の登場によって、疾患の原因や心理学的背景を探求する手法は退潮しているようにみえる。著者は、長年にわたる精神科クリニックでの臨床経験から、ある性格傾向や素因をもつ人の一群を措定し、既存の診断基準や研究成果をふまえて性格類型を構築した。特定の症状に対する一定の効果を求めるのではなく、疾患横断的に性格類型を見きわめることによって、クライアントへの有用なアプローチが可能だとする。個人精神療法、家族療法を基盤とし、クロニンジャーの性格理論やオートポイエーシス理論を援用して生み出された著者の理論と臨床スタイルは、DSM全盛の現況で多くのヒントをもたらすであろう。
- 著者:志村宗生/著
- 発売:2015年05月
- 出版社:金剛出版
- 価格(税込):3,960円
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